オルタナ・カントリー

Son Volt / American Central Dust (2009)

ウィルコのことばかり書いていますが、サン・ヴォルトのことも忘れてはいません。

元祖オルタナ・カントリーバンド、アンクル・テュペロが分裂して
「ウィルコ」と「サン・ヴォルト」になった訳ですが、ウィルコが
オルタナ・カントリーからどんどん離れて、アメリカの救世主バンドとして
もてはやされるようになったのに対し、サン・ヴォルトは、
従来の路線から外れることなく、地味に活動しております。


Sonvolt


でも、サン・ヴォルトのソングライター兼ボーカルのジェイ・ファーラー
の歌はグッとくるんですよ。
この人の声は、まさにカントリー・ロックを歌うために生まれたような声で、
この乾いたサウンドに絶妙にマッチします。

このニューアルバムも一切新しい機軸はありません。
良い歌、その歌にベストな演奏。それだけです。

今やロック界の最重要人物のひとり、ジョー・ヘンリーのミックスも
バンドのカラーを逸脱することなく、ナチュラルなミックスで良いです。
(ミックスのみでプロデュースはしていません)

過去のアルバムに比べてより一層肩の力を抜いた「大人なアルバム」
ですが、夜酒でも飲みながら聴くにはぴったりです。

ウィルコは知っているけど、サン・ヴォルトは知らないという人は、お試しあれ!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Wilco / (The Album) (2009)

ウィルコのニューアルバムは、今のバンドの姿をストレートに表した作品になりました。

ジム・オルークがプロデュースした「Yankee Hotel Foxtrot」は、
まぎれもない傑作ですが、この作品のおかげで「小難しいインテリバンド」と、
とられたのも事実です。

Wilco_new

ジェイ・ベネットが脱退して、その後新しいメンバーが入ってもまだ
「Yankee Hotel Foxtrot」を引きずっていたようにも思われますが、
この作品で完全に今のメンバーのウィルコが完成したのではないでしょうか。

そっけないアルバムタイトルは、ビートルズの「ホワイト・アルバム」を
意識したのかどうかわかりませんが、「ホワイト・アルバム」と同様、
こちらのアルバムもコンセプトらしきものはありません。

とにかく、”このメンバーでスタジオに入ったらこんなんできました”的な
ある種投げやりな所も感じますが、このざらつきは私は好きです。

デヴィット・ボウイのような①から入ったかと思ったら、テレビジョンのような④、
ジョージ・ハリスンな⑥など影響を受けたアーティストのテイストをそのまま
やっちゃっています。

このメンバーで音を出すと、何をやってもウィルコになる自信があるんでしょうね。
今バンドが良い状態にあることがわかります。

全体のトーンが明るくポップな面もいいですし、肩の力の抜け具合もいい感じです。

もはやカントリー的なサウンドは、ほんの一部になっているので昔のファンは
去ってしまったかもしれませんが、
ウィルコこそ真のミクスチャー・ロックバンドでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Wilco / Ashes Of American Flags (DVD)

ウィルコの全米ツアーを記録したDVD。

ほとんど、ライブシーンなので、ライブDVDとして見られます。
(ちなみに、DVDをPCに入れると、収録曲+α(20曲)のmp3が
ダウンロードできます。)


Wilco_dvd

ウィルコの日本に入ってくる情報は、ボーカル/ソングライターの
ジェフ・トゥイディーのことばかりなので、ウィルコはジェフの
ワンバン・バンドとおもわれがちですが、このDVDをみれば
それが違うことがわかります。

現在のウィルコのメンバーは以下です。

Jeff Tweedy (ボーカル/ギター)
John Stirratt (ベース)
Glenn Kotche (ドラム)
Nels Cline(ギター)
Pat Sansone(ギター、キーボード他)
Mikael Jorgensen (キーボード)


メンバー一人一人の持っている情報量が凄いです。
メンバーの個性が見事にバンドのカラーになっています。

ネルスがギター弾き過ぎと思っている人も多いと思いますが、
この映像を見れば、今のウィルコはこれでいいんだと納得できるかもしれません。
(この人は、テレビジョンが大好きと思ったのですが、違いますか?)

楽器をなんでもこなしてしまうパットや、ギタリストとしてもかなりの腕のジェフが
ウィルコのサウンドをより重層的にしていると思います。
(唯一コーラスをとるベースのジョンもいい味出しています)

ウィルコはバンドとして非常にいい状態であることが、映像から伝わります。

近年のアルバムは、ちょっと難解な方向に向かっているのかという
印象があったのですが、まったく軸はぶれていなかったことが、
このDVDから伝わります。

デビューからずっと聴いていましたが、このDVDを見て初めて
このバンドの本質が見えたような気がします。

もうすぐリリースされるニューアルバムの期待も膨らんできました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Jay Bennett / Bigger Than Blue (2004)

元ウィルコのジェイ・ベネットが45歳という若さでお亡くなりになりました。

アンクル・テュペロから分裂して、ウィルコとサン・ヴォルトになったあたりから
追いかけてきたので、この訃報はショックです。


ウィルコ在籍時(セカンドから、Yankee Hotel Foxtrotまで)のサウンドを聴くと、
プレイヤーとして、ソングライターとしてジェイ・ベネットの貢献が大きかったはず。

ジェイ・ベネット脱退後ウィルコは、実験的な要素を深め、
オルタネイティブ・ロックにシフトしていくのですが、初期のウィルコが好き
という方も多いと思います。


そんな方には、ジェイ・ベネットのソロアルバム「Bigger Than Blue」がおすすめです。
(Jay Bennett & Edward Burch名義のアルバムではより実験的なサウンドを
試みていますが自身のソロはロックです。)


Jay_bennett


カントリー・ロックをベースに、シンガーソングライター的な要素も加わった、
大人なロックアルバムです。
ジョー・パーニス(ex.パーニス・ブラザース)に似たスモーキーな声も
味わいがありますし、エルビス・コステロのファンにもうけると思います。


マルチプレイヤー、プロデューサーとして、またソロ・アーティストとして、
これからも良質な作品を生み出してくれると期待していたので残念です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Neko Case / Middle Cyclone (2009)

AN-TAIに移籍して2枚目のニーコ・ケースの新作。

この人は、一般的にはオルタナ・カントリーにカテゴライズされていますが、
今回は非常にPOPな作品で勝負してきました。

前作などは、割とゴシックぽい要素もあったのですが、
今回はいきなりギター・ポップ全快です。

①〜③なんてカースティー・マッコール(特にアルバムKite)に非常に共通する、
「ポップなんだけどちょっと翳りのある魅力的な声とメロディ」がきもちいいです。


Neko_case


⑤以降は従来のフォーク/カントリー路線になるのですが、⑥の出だしを聴いて
「あれ?どこかでこのメロディ聴いたことあるぞ」と記憶をだどったら、
甲斐バンドの「テレフォン・ノイローゼ」とAメロが全く同じじゃないですか!

クレジットをみたらこの曲「Never Turn Your Back On Mother Earth」は
カバーで、元曲はスパークスでした。
74年の作品ですが、この時代に、はたして甲斐よしひろ氏はスパークスを
聴いていたのでしょうか?
もし聴いていたのなら、それはそれで感心しますが。

そして、もう1曲のカバーがハリー・ニルソンの「Don't Forget Me」。
(ジョン・レノンがプロデュースしたPussy Cat収録)渋い所をつきます。

このアルバムは参加メンバーが豪華で、キャレシコ、ジャイアント・サンド
の面々やM・ワード、そしてなんとザ・バンドのガース・ハドソン!と
その筋が好きな人にはたまらない人選です。

そして、カバー2曲を除く曲はすべてニーコが書いており、ソングライター
としての凄みも見せてくれます。

ミュージシャンズ・ミュージシャンとして通好みのアーティストだと思っていた
のですが、なんと先日のビルボード・チャート3位に入ったそうです!

アメリカで何がおこっているのでしょうか?
とにかくめでたいことです!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

K.D. Lang / Ingenue (1992)

これを初めて聴いたときは、K.D.ラングがジャンル的にカントリーに
所属しているアーティストとはつゆにも思わなかったです。

私的には、シンガーソングライターの文脈で捉えていました。

とにかく、悠然としながら凛とした曲が素晴らしいです。

ジャンルとか関係なくGOOD ミュージックとして聴いて欲しいです。


Kdlang

彼女は同性愛をカミングアウトしたので、ゴシップ的なニュースも聞こえて
きたりするのですが、このアルバムは間違いなく歌ものアルバムの傑作です。

同郷のカナダ出身のアーティスト(ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェル、
レナード・コーエン、ロン・セクスミス、ブルース・コバーン、ジェーン・シベリー)
などの曲をカバーした「Hymns Of The 49th Parallel」とあわせて聴くとこの人の凄さ
がわかると思います。

純粋なカントリーのファンにはあまり聴かれていないと思いますが、このミクスチャー
感覚はロックファンの方がピンとくる思います。

お試しあれ!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Blue Mountain / Tales of a Traveler (1999)

学生時代に聴いたジョージア・サテライツの「Keep Yor Hands To Yourself」に
ノックアウトされた以来、”ダン・ベアード"という名前に反応してしまいます。

しかし、10年前に出たダン・ベアードがプロデュースしたこのアルバムに
気がつきませんでした。

ブルーマウンテンは95年作「Dog Days」を聴いていたので、その後もチェックして
いたはずなのですが、完全に素通りしてしまいました。

今回、バーゲン品のコーナーにこのアルバムを発見。
ジャケットがあまりにバンドのイメージじゃないので、見逃すところでした。

Bluemountain

プロデュースはバンドとダン・ベアードの連名になっていますが、
明らかにダン印が刻まれています。
(といってもダン・ベアードがギターを弾いているのは、①、⑪、⑫のみです。)

前作はもっとカントリーよりでしたが、もう完全にロックしています。

ケアリー・ハドソンとローリー・スティラット夫婦を中心とした、
コンビネーションもばっちりだし、Wilco、Son Volt、Jayhawksなどに
ひけをとらない、すばらしいアルバムですね。

ブルーマウンテンは2001年に解散していますが、2007年に再結成して、
昨年2枚同時にCDをリリースするなどインディーズながら精力的に
活動をしています。


こんなバンドは時代や流行に左右されることなく、息長く活動して欲しいですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Robert Plant Alison Krauss / Raising Sand (2007)

いやぁ、グラミー5部門、とっちゃいましたね。

順等ならコールドプレイでしょうが、審査員のコールドプレイ独占を阻止する
空気が広がったのかも。

このアルバム、めちゃめちゃ渋いですが、すごくいいです。
2007年の12月ぐらいからヘビー・ローテーションでした。

ロバート・プラントとアリソン・クラウスというジャンルを代表する大物2人
ではありますが、ハードロックとカントリーの融合みたいなノリで聴くのではなく、
Tボーン・バーネットのプロデュースによるオルタネイティブ・アメリカーナ
として聴くのが正しい聴き方ではないでしょうか。


Raisingsand


いきなり、おなじみマーク・リボーの幽玄ギターではじまり、
音像がまさにTボーン・バーネット。
この音が2人のつつましく歌う声にマッチしています。

ロバート・プラントが作った曲はジミー・ペイジと共作の
「Please Read The Letter」のみでエバリー・ブラザースなど
古い曲にまじって、ジーン・クラーク(バーズ)やトム・ウエイツ、
Tボーン・バーネットの元奥方のサム・フィリップスの曲も。

選曲にもTボーン・バーネットが関与していたのは間違いないでしょう。

どの曲にも最適なアレンジで淡々と聴かせるのですが、これがクセになります。

ぼーっと聴いていたら、気がつけばアルバムが終わっていたなんてことも
よくありました。

とても含蓄のあるサウンドなのですが、それを感じさせないところがすごいです。

ちなみにグラミーをとった5部門は以下。

年間最優秀レコード賞
「プリーズ・リード・ザ・レター」
年間最優秀アルバム賞
「レイジング・サンド」
ベスト・ポップ・コラボレーション・ウィズ・ヴォーカル
「リッチ・ウーマン」
ベスト・カントリー・コラボレーション・ウィズ・ヴォーカル
「キリング・ザ・ブルース」
ベスト・コンテンポラリー・フォーク/アメリカン・アルバム
「レイジング・サンド」

(グラミーはよくわからないカテゴリーがいっぱいあるんですね)


これで、レッド・ツェッペリンの再結成は完全になくなりましたね。
(ロバート・プラントには元々ツアーに出る気はなかったようですが)

昨年12月の1回限りの再結成の方が、バンドのためにはよかったのでは
ないでしょうか。
ロバート・プラントはしてやったりでしょう。

グラミーとか関係無しにTimeless Good Musicとして聴いて欲しい、
素晴らしいアルバムです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Mark Olson & Gary Louris / Ready For The Flood (2008)

やりました!
ジェイホークスの黄金コンビ、マーク・オルソンとゲイリー・ルウリスが
再び組みました!

(このコンビへの思いはここに書いてます)


Markgary


2人の声が重なるだけで感動です。

ジェイホーク時代よりも、ラフでスカスカな演奏ですが、これがグッときます。
この選択は多分、プロデューサーのクリス・ロビンソン(ex.ブラック・クロウズ)
の意見だと思います。
(一足はやくリリースされたゲイリー・ルウリスのソロEPもクリス・ロビンソンが
プロデューサーでこちらは、完全にギター+歌だけでした)


ジェイホークス時代のようなロックよりの曲は一切無し。
徹底的に2人の歌を聴かせます。

アレンジは、2人の弾くアコースティック・ギターと歌だけで成立させ、
そのうえに歌を邪魔しない簡素なバッキングで、地味に感じるかもしれませんが、
私は正解だと思います。

やっぱりこのコンビは素晴らしいですね。
これで終わりにしないで、どうか継続的な活動をしてください!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Jolie Holland / The Living And The Death (2008)

久々に大絶賛したいアーティストと遭遇しました。

ジョリー・ホーランド。
初めて聞く名前でしたが、マーク・リボーが参加ということで、
試聴したらこれが大当たり。


Jolie

過去に3枚アルバムをリリースしていて、いままではもっとジャズやカントリーよりの
ルーツミュージックを基調にしていたようですが、マーク・リボーやM・ウォードの
オルタナギターが入って、このアルバムはかなりロックです。

トム・ウェイツが所属しているレーベル「ANTI-」からリリースされていることもあり、
「女版トム・ウェイツ」と形容されることが多いようですが、それはちょっと安易な
ような気がします。

確かにトム・ウェイツに共通するようなゴシックな香りはありますが、ジョリーは
やはりフォーク/カントリーが核なので、トム・ウェイツのようなドラマティック性
はなく、もっとドライな感じです。

このドライな感じが実にかっこいいです。
強いて言えば、キャット・パワーが一番近いかも。

ジョリー・ホーランドの醸し出しているオルタナ感は、勉強したり作り込んだり
していない「本物」の匂いがします。

過去の作品も早急にチェックします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)